2026年3月議会:早活人材(高卒就職者)支援について

2026年3月議会:早活人材(高卒就職者)支援について

問題意識

関市は若者の流出が大きな課題であり、その要因の一つは仕事である。これまで大卒や女性の就職支援について取り上げてきたが、今回は高校卒業時の就職支援に焦点を当てる。地元企業での高卒人材の採用が非常に困難であるという問題意識のもと質問する。

(1) 市内高校の就職と市内企業への就職の割合は

令和8年3月卒業予定者の状況として、関商工は就職者が150人で就職率は58.6%、このうち市内就職は48人で全体の18.8%。関有知高校は就職者が62人で就職率50%、うち市内就職者は31人で全体の25%。進学率は4割から5割程度となっている。市内就職の割合が低く、行政としてより多くの生徒に市内企業へ就職してもらうための取り組みが課題となる。

(2) 市内企業が高卒採用に求めるニーズと求人倍率は

高校生の求人倍率は、関商工高校の工業科で30倍、商業科は48倍、関有知高校は6倍から7倍。多くの市内企業で若手人材が不足しており、高卒採用のニーズは非常に高い。製造業が盛んな本市では、工業科出身の若い人材を獲得したいと考える中小企業・小規模事業者が多い。

(3) 1人1社制等の高卒採用規制による困難は

「1人1社制」とは、高校生が学校推薦で応募できる企業を原則1社に限定するルールで、生徒が公平に就職機会を得られるようにするため、また過度な就職活動による学業・部活動への影響を軽減する目的で設けられている。生徒は学校のサポートを受けながら安心して就職活動できる一方、応募先が1社に限定され選択肢が狭まる面もある。現状は大きな混乱には至っていないが、ルール見直しは慎重な検討が必要との答弁だった。秋田県や大阪府では複数応募を認める事例も出てきており、ミスマッチや早期離職につながる可能性がある点は今後の検討課題として指摘した。

(4) 市内高卒就職者の3年以内の離職率は

ハローワークに確認したところ市独自の統計はなく、令和6年の労働局調査による全国的な高卒就職者の3年以内離職率は38%で、本市も同程度と想定される。参考として大学は33.8%、短大は44%となっている。

(5) 現状を踏まえた高卒支援策と成果、アプレンティスシップの活用は

市はバスを利用した企業見学ツアーや合同企業説明会を実施しているが、独自の5段階のフェーズ分けで見ると、長期インターンシップなど「定着支援」の前段階にあたる取り組みが不足していると指摘した。その解決策として「アプレンティスシップ(徒弟制度・見習い制度)」、働きながら学び特定の職業スキルを実践経験できる訓練方式を提案。豊田市の事例を紹介し導入を求めた。

答弁では、アプレンティスシップは生徒が実際に企業で働くことで知識や技術を身につけ、将来のキャリアを考える機会として有効な方法であり、現状の短期インターンシップでは得られない経験価値があるとした一方、高校の授業との兼ね合いや生徒の多忙な高校生活への影響を考慮する必要があり、学校・生徒・保護者・企業側それぞれの理解と、企業の受け入れ環境整備や指導体制の議論が必要として、先進事例を参考に研究を進めるとした。

(6) 福祉分野での人材確保(開拓奨学生の取り組み)は

アプレンティスシップの中でも福祉の現場は資格と実務経験が重視されるため特に効果的とされる。愛知県の「開拓奨学生」の取り組みを紹介し、福祉人材不足解消の一助としての活用を提案した。答弁では、介護福祉人材の不足は深刻な課題と認識しており、開拓奨学生のような取り組みは社会課題解決の一つとして有効と考えられるが、市内には福祉・介護を専門に学べる高校が現状なく、社会全体の課題として今後検討していくとの回答だった。

(7) 高卒就職者への定着支援は

採用人数の少ない市内企業では同期をつくりにくいため、地域内で同期のような場をつくる定着支援を提案した。答弁では、みんなの就職サポートセンターでの高卒採用向上セミナー開催、岐阜県ワークライフバランス推進企業や関市女性が働きやすい職場認定企業の認証推奨、市民健康課による企業向け健康経営セミナーなど、働きやすい職場環境の整備やキャリア形成支援を通じて定着を支援していきたいとの回答だった。豊田市では定着支援とアプレンティスシップを両輪で行っている例も紹介し、あわせた検討を求めた。

(8) 就職・進学に関する生徒・保護者・教員の意識醸成は

関商工では近年進学率が上昇傾向にあり、社会情勢や価値観の変化が影響していると考えられる。就職か進学かは生徒・保護者・教員が時間をかけて話し合い決定しているとし、市内企業との連携やインターンシップ、探究の時間を活用した企業との共同開発など、他校と比較しても充実した取り組みを行っているとの答弁だった。取り組みが実際の成果に結びついているかの定量的な分析は現状不十分であり、今後の課題として指摘した。