2026年3月議会:国民健康保険の取り組みと予防医療の推進について
2026年3月議会:国民健康保険の取り組みと予防医療の推進について
問題意識
議員になり15年ぶりに国民健康保険に加入し、保険税の高さに驚いた。調べると15年前より負担率が1.17倍(約11.7%増)になっていた。当局から提供された「令和6年度の国民健康保険の事業概要」を読み、被保険者数が減少し1人当たりの負担が増える中で、「病気になってから治す医療」から「データを活用して病気を未然に防ぎ重症化させない医療」への転換が重要だと感じ質問する。
(1) 被保険者の負担の状況と要因、保険税を上げる判断基準は
国民健康保険税は所得割・均等割・平等割の3方式(医療給付費・後期高齢者支援金分・介護納付金分)で構成される。10年前の平成28年度と令和7年度を比較すると(資産割を除く)、所得割は9.05%から11.11%、均等割は4万3,200円から5万400円、平等割は4万1,400円から3万7,200円(平等割は介護納付金分のみ減額、所得割・均等割はすべての区分で増額)。1人当たりの当初調定額は年額12万1,291円から13万9,486円と約1万8,000円増加している。要因ははっきりとは把握できないが、被保険者数の減少や高齢化、1人当たり医療費の増加傾向が考えられる。保険税値上げの判断基準は特に設けていないが、医療費の推移や国県交付金の額、収支状況等を総合的に勘案して適宜検討しているとのことだった。
(2) 国民健康保険事業の取り組みの全体像(保険者努力支援制度)は
「保険者努力支援制度」は、保険者が被保険者の健康維持・医療費削減・国保財政の健全化に向けて取り組んだ成果を評価し、国が交付金を交付するインセンティブ制度。令和7年度は12項目の評価指標(特定健診受診率、後発医薬品使用促進、保険税収納率等)で評価され、関市はメタボ該当者・予備軍の減少率や歯科健診受診率、後発医薬品使用割合、保険税収納率等で高い成績を収め、総合実績で県内42市町村中9位、交付金は約3,000万円だった。一方でマイナンバーカード利用登録者数の割合やマイナ保険証利用率等の項目では加点が得られず、当面の課題とのことだった。
(3) 年間1人当たりの医療費の推移とその増加要因は
被保険者1人当たりの医療費は、令和3年度30万7,547円、令和4年度31万3,374円、令和5年度33万1,214円、令和6年度33万6,286円で、4年間で約9.3%増加している。KDBシステムの令和6年度疾病統計では糖尿病が最多で、次いで慢性腎臓病、関節疾患の順。人工透析導入者の1か月の費用は平均およそ45万8,000円で、生涯継続する治療のため医療費を押し上げる要因になっている。
(4) 糖尿病性腎症重症化予防プログラムの取り組みと成果・課題は
特定健診の結果やレセプトデータの分析から医療機関未受診者・糖尿病未治療者・治療中断者を選定し面談等での保健指導を実施。糖尿病性腎症を発症またはリスクの高い方には医療機関と連携した保健指導を行い、重症化予防に努めている。令和2年度からかかりつけ医との連携による保健指導を開始したが、当初の依頼率は5.4%と低かったものの、令和5年度38.4%、令和6年度40.5%と年々増加し連携体制が整いつつある。一方、保健指導を実施した方の翌年度の健診受診率が低いことや、血圧・慢性腎臓病の重症度分類の維持改善が中間評価の目標値に及ばないことが今後の課題とされた。
(5) 特定健診の受診率向上の取り組みと受診率が向上しない理由は
特定健診の受診率は令和4年度33.8%、令和5年度34.4%、令和6年度34.3%で、国の目標値60%に達していない。特定保健指導の利用率も令和6年度で36%、積極的支援対象者78人のうち利用者10人・終了者5人で終了率6.4%と、県内38位・ワースト5位の低さを指摘した。
市はこれまで、はがきによる個別勧奨やインターネット予約受付を実施し、特に年齢別・受診歴・生活習慣病治療情報等でパターン分けした圧着ハガキでの受診勧奨が最も効果的だったとしている。令和5年度の市民意識調査では、健診を受けない理由は「面倒だから」が最多で「忙しいから」「費用がかかるから」と続き、受けやすくなる条件は「予約が簡単に取れる」「無料にする」の順で多かった。これを踏まえ令和6年度から個別健診でもインターネット予約を利用できるよう拡大している。特定保健指導は、令和4年度から市の専門職(保健師・管理栄養士)による家庭訪問指導を開始し動機付け支援の終了率は増加傾向にあるが、積極的支援対象者は40〜50歳代で就労中の方が多く、面談につながりにくいことが課題とされた。
(6) AI等データを活用した特定健診受診勧奨の新たな取り組みは
本年度は県の補助金を財源に、AI分析とナッジ理論を活用した受診勧奨の委託業務を実施している。AI分析で「いつ・誰に・どのように勧奨すべきか」を分析し、ナッジ理論では未受診者を7つのパターンに分けたメッセージで勧奨を行っている。委託先は全国800を超える自治体で勧奨事業を支援し実績を上げており、本市でも受診率向上の効果が期待されるとのことで、次年度も継続予定。
再質問では、目標の受診率47%達成のためには具体的にあと1,404人の受診が必要になるという試算を示し、これまでの郵送勧奨(空中戦)に加え、保健師による直接の訪問勧奨(地上戦)の重要性を指摘。地域ごとの医療費差(板取地区は1人当たり54万円、上之保地区は37万円という2016年データ)にも触れ、集落支援員や地域包括支援センター、地域委員会等と連携した訪問型勧奨の実施を提案した。答弁では、令和6年度実績で洞戸地域28.1%、板取地域30.7%、武儀地域40.9%、上之保地域43.6%と地域差があることを認め、地域と連携した受診勧奨の検討はしていきたいが、対象が国民健康保険被保険者に限られることや個人情報の観点から課題も多いとした。








